腱板断裂について知っておきたいこと

腱板断裂とは、肩の深部にある筋肉と腱の集合体「腱板」が損傷・断裂することで起こる疾患です。

主に中高年に多く見られ、放置すると肩の機能が低下し、日常生活に大きな影響を及ぼします。

腱板断裂ではどこが痛い?

腱板断裂では、主に肩の外側から腕の上部にかけて痛みが出ます。

肩の前側や背中側に痛みを感じる人もおり、特に腕を上げたり、後ろに回したときに強い痛みを伴います。

夜間痛もよく見られ、眠れないほどの痛みに悩まされることもあります。

腱板断裂の症状とは

初期には肩の違和感程度のこともありますが、進行すると次のような症状が現れます。

  • 腕が上がらない、動かすと痛む
  • 力が入りづらく、肩に力が入らない
  • 動作のたびに肩が引っかかる、ゴリゴリと音がする

一部断裂では痛みが軽いこともありますが、完全断裂になると機能障害が明らかになりやすくなります。

腱板断裂のチェック方法

自分で確認できる簡易チェックとしては、腕を水平より上に挙げることができるか、あるいは背中に手を回して届くかといった動作が目安になります。

また、肩に手を当てた状態で腕を動かし、異常な音や強い痛みがある場合は疑わしいと考えられます。

ただし、正確な診断には整形外科での超音波検査やMRI検査が必要です。

腱板断裂を放置するとどうなるか

放置すると断裂が広がり、肩の機能がさらに低下します。

やがて腕を自力で上げられなくなり、日常動作に大きな支障が出るようになります。

周囲の筋肉や関節にも負担がかかり、二次的な障害(肩関節拘縮や変形性肩関節症)を引き起こす可能性もあります。

やってはいけないこと

痛みを我慢して無理に腕を動かす、負荷の強い運動を続ける、マッサージを繰り返すなどの行為は避けましょう。

炎症や断裂が悪化し、回復が遅れる原因になります。

痛みを感じる動作は控え、専門医の指導のもと適切に対処することが大切です。

腱板断裂の痛みを和らげる方法

安静が基本ですが、痛みが強いときはアイシングで炎症を抑えたり、鎮痛薬の使用が有効です。

夜間痛がつらい場合には、肩の下にクッションを入れて安定させることで痛みを和らげることができます。

また、超音波治療や低周波治療などの物理療法も効果的です。

腱板断裂の治し方

治療は断裂の大きさや症状に応じて異なります。

軽度であれば保存療法として安静、薬物療法、理学療法が基本となります。

一方、症状が強く改善が見られない場合や完全断裂の場合は、関節鏡を使った腱板修復手術が検討されます。

手術後のリハビリも含めた一貫した治療が重要です。

腱板断裂のリハビリについて

リハビリでは、痛みを軽減しながら可動域の回復と筋力強化を目指します。

初期は肩関節周囲のストレッチや他動運動から始め、次第に筋力トレーニングへと移行します。

術後は医師や理学療法士の指導のもと、無理のない範囲で継続的に行うことが回復を早めるポイントです。

肩の違和感や痛みを感じたときは、早めに整形外科を受診して正確な診断を受けましょう。

放置せず、適切な治療とリハビリによって、快適な日常生活を取り戻すことができます。